身体技法を考える           2012.4.26

身体は筋肉で動くが 骨だけでも動く 「走りの理論」のページに戻る HPのトップページに戻る

脚のみにて走るに非ず

足の蹴りだけではなく 手足胴体の振りも捻りも 動ける動きは全て走りに効かすべし

 

 

運動嫌いのマイク(私のスポーツ道」に告白)が 50を過ぎてからジムでランニングマシンを体験し 次第にマラソンやトライアスロンを楽しむようになったのは 仕事だけのサラリーマンに限界を感じた中高年者が 老後の準備としてスポーツジムでの身体作りを始めようとしたことからです

マラソンはフルの制限5時間ぎりぎりで このギリギリ感もかなり快感でしたが ヤッパリもう少し余裕が欲しいとか 疲れが少ない効率のよい走り方がないかと考えながら走っていました

 

リタイアして 関係先の名古屋に新幹線通勤するようになってからは ジム通いが出来なくなり 到頭途中の制限時間に引っ掛かりバスに乗せられるようになった

これは拙いと2年で仕事を断り ジム通いのマシントレーニングを再開したのは10年前です

リカバリーの為に ランニングマシンの脇の鏡でしきりに自分のフォームをチェックするようになり また寄る歳をも見て感じ始めました

 

年相応にスピードを落とせばいいのですが これをフォームでカバーできないか 色々フォームを変えながら走ってみると それなりに力の入り具合や疲れ方の違うことを体感できることに気付きました

マイクが このHPの中で最も自信作といえる 「ランニングの理論」を立ち上げたのは この鏡を見ながら走ったランニングマシンに教えられたからです

そして身体が確実に疲労や力みを感じていることを自覚したことにあります

フォームを色々変えながら 身体の部位のエネルギー消費を実感・体感できることを見つけ 直ぐにこのHPの掲示板に体験を載せ始めました

 

当初は 色々とトライしたことの感想を載せましたが はっきりした理論と呼べるものが出来るとは思っていませんでした

次第に ベストなフォームが見つかりだし 遂に後にマイク・ナンバーズとして確立したフォームに辿り着きました

途中で 手足同側振りの 所謂ナンバを体験した時に かなり前に確か 雑学的な本で昔の人は同側振りしていたと紹介されていたことを思い出し かなり懸命に探してみましたがナンバの言葉すら忘れていて  分からずに済ましてしまいました

その内 ネットで検索するべきことに気付き 調べてみるとナンバブームと言えるほどのサイトが一杯あることに気が付きました

 

やがてマイクの考案したフォームは ナンバそのものでも 流行りで主流としての権威が感じられる二軸走法とも違うので マイクのオリジナルとして マイク・ナンバーズフォームと名付けました

掲示板にこのことを見られた方も次第に増え マイク・ナンバーズに共感を戴く方が増えてきました

勿論反論される方もおられて 掲示板で論争することもマイクの日常の時間として大事になりましたし それが刺激で これこそ力学的な解明をしようと思う切っ掛けを戴きました

二軸走法は スポーツ科学から生まれたと唱えながら殆んど科学的な解析はなされていないとの思いがマイクにはありました

物理屋のマイクとは言え 高校力学レベルしかこなせなくて それから四苦八苦しながら力学解析をしてみました

フォームによる変位と力と運動量とモーメントとエネルギーを割り出し 数値比較することを結構楽しみました

それらの解析のステップそのものがランニングの理論」の各ページになりました

 

ナンバに巡り合ってから10年になります

最終的に ナンバでもなく二軸走法でもなく マイク・ナンバーズが最も優れた効率的走法であるとの結論を力学解析から纏めた積りですが まだまだ実験で証明すべきことがあります

マイクの手に負えないのですが したいことは 実際のランナーの運動実験での酸素消費量計測と ロボットに色々のフォームの運動をさせ消費エネルギー計測して比較することです

このようなことはスポーツ科学をアカデミックな学門とすべく 二軸走法を唱える学者の講座の学生さんの研究としてやって頂きたいものです

 

スポーツ科学・ナンバ学会などを立ち上げて論争されんことを夢見ているマイクですが そこで止まってしまい 5年ほど空虚な時間が経過してしまっています

もっと力学的な理論解析を進めたいのは インピーダンス理論を使って消費エネルギーを捉えることです

交流の電気抵抗などに見られる実数抵抗と虚数抵抗を扱う理論です

外部抵抗と内部抵抗と考えて貰ったら分かり易いかも知れません

胴体を捩じることが無駄と言う考えは余りにも幼稚で 胴体を捻らないためには内部抵抗としての力みが発生し これこそ大きな無駄遣いになることを理解できないからです

機械インピーダンスの考え方を展開すればいいのですが 高校物理の範囲を超えて 物理屋崩れのマイクには手に負えません

インピーダンス整合を考えた効率理論をスポーツ科学する学生さんに取り扱って欲しいものです

 

 

そんなこんなで マンネリになってしまっていますこのページを活性化させるために 今までとは違った別の角度からナンバを眺めてみようと思います

これまでも時々掲示板で コンテンポラリーダンサーでもあるマイクが ダンスの中にナンバの動きを見つけたり 捻ったり屈んだりと激しい動きのヒップホップダンスが力みの少ないゆるゆるダンスで 即ち効率的であったり 逆にエアロビクスがガチガチダンスで余計なカロリー消費をさせようとするものであるとかを体感して論じています

先ず能やダンスにも何かヒントがありそうなので これから能とダンスの動きについて考えてみます

 

で一番気になる動きはすり足です

重心を低く保ち 上下動を少なくするための動きに違いはない

然も 足先は浮かして進めてから しかと床を指先で掴むようにして前進するのが気になる

すり足は 膝を伸ばしてロックした状態ではなく 曲がった状態を保つために筋力を使うので 疲れやすい筈です

それでもすり足するのは 上下動のエネルギーよりも少なく済ませるからではなく 安定感を見せるためでしょう

普通の歩行は ロックした脚の儘で重心が上下して進むのですが ロックした脚が筋力を使用しないで済むので上下動してもエネルギー消費が少ないことは 「モデルが歩く・走る」で倒立振子モデルとして解析した通りです

 

しかし走りとなると 上下動を気にせずピョンピョンと跳ぶような走りでは省エネになりません

マイク・ナンバーズの走りは上下動を嫌っていて ジョグフォームでは着地脚が曲がっており 着地足が重心上下動を少なくするよう元の高さを保とうとして伸ばす力を入れるので 少しはエネルギーを使いますが 上下動の大きい普通よく見るピョンピョン走りとは大違いです

 

茂山童司とは 詩人チョリとのコラボパフォーマンスショーを長年追っかけているので ダンスや仕舞いのことでお話し することがあります

滋賀報知新聞平成24年1月26日(木) 第16172にも 次のようにあった

大蔵流狂言師・茂山童司さん(28)が“出前授業”を行った

肩幅に開いた足先を外側へ向け ひざを少し曲げて背筋を伸ばし 手を足のつけ根に置き 体が上下しないようすり足で歩くよう指導する

とあったが ナンバを意識していなく 果たしてナンバが伝統芸の中で如何あったのかは 彼からは聞き取れていません

重心を上下させない滑るような足捌きは 基本の基本のようです

 

最近 「能に学ぶ身体技法」 安田登 ベースボール・マガジン社 を読んだが 全くナンバ を意識していない

侍が二本の刀を腰にするため大腰筋などの深層筋を鍛えられており サムライの文化としての能楽師も 詰まるところアスリートであると説いている

体軸感覚を持って立ち 丹田に重心感覚を置き 腕は横に軽く広げて 頭上に身体を引き上げるように立つ

すり足(股関節から脚をだす 爪先の上げ下げ) 指シ込ミ(数歩の運びで腕を前に出す) ヒラキ(三歩の下がり腕を開く) 呼吸・声についても解説がある

しかしナンバのことは何も触れていない

簡単に書かれていたが 武術の極意の「柔よく剛を制す」を世阿弥は「捨力」と言ったらしい

また筋肉美信仰をもつ西洋人が 和弓を番(つが)えるには弛緩した腕で射ることに驚いたと言う

つまり芯をしっかりさせ安定するために 日本の武術が深層筋(コアマッスル/インナーマッスル)を鍛えることからなると云う事を言いたい本でした

表層筋(スキンマッスル/アウターマッスル)よりもインナーマッスルを鍛えるのは 最近のブームのようですが本質はどこにあるのか どれも要を得ていないように思います

 

 

さて ダンスの身体運動について考えると バレエ モダン ラテン ヒップホップ ジャズ 等によってかなりと言うより夫々全く別の動きを基本としています

マイクは50を過ぎて体作りの為のジム通いから エアロビクスを始めたのですが これは全くダンスではないと気が付いたのはジムで色々のダンスを体験しながらです

 

エアロビクスは体力を消耗させるのが目的ですから 筋肉に有酸素運動を多くさせようとして無駄を構わず 剛にして剛なる動きをします

特にエアロビック(エアロビクス競技)は 力強さを見せるために腕を振り回し 脚を蹴り回すのですが 手足先の動きを大きく見せるため手足を伸ばして力を込めて振ることが多い

その反動のモーメントで胴が捩じられる時には お腹に逆に力を入れてこれを堪え 身体の捩じれを無理に抑えている

美しさとか 滑らかさではなく 力強さを見せつけたり感じたりしますが 疲労感を狙った持久性のない非効率な体操的な運動です

トルク効率の悪いインナーで働くコアマッスルより 外側でトルクの大きいスキンマッスルを使った方が力を入れやすく力強くなります

手を上に振り上げるにしても 肘を伸ばしたまま手先を振り上げるのは 肩のスキンマッスルを使うだけです

それよりも肘から先に上げ 二の腕をその次に上げる二段階にした方が 肩も腕も両方の筋を使って力が小さくスムースに上がるのですが このような動きは殆どしません

 

バレエは 美しく見せるために仕組まれたからだ使いをして 脚や腕を長く見せることに重点が置かれます

どちらかと言えばエアロ的な剛直な動きで 捻ったり揺らしたりは少ない

 

モダンジャズも手足の長さを見せるその類なので そのためバレエテクニックを使いながら踊りますが 動きの美しさをも見せるために 見かけの形よりも流れを大事にしています

その為身体の揺れや捻りを使って動いています

スキンマッスルを使って力強く見せるよりも 力を掛けないで重心移動で揺れながら動いたり 足腰で回転すると言うより捩じったり曲がったりして流れるようにします

重力を上手く利用した動きと言えます

 

ヒップホップストリートダンスハウスは 速いリズムに乗っている様子を見せる

手足だけを振るのでは 振る力と振り戻す力とも大きくまた遅くなるので 身体の前屈後屈や捻りの逆モーメントも使って 手足のモーメントとのバランスを取る

クネクネと身体を揺らしながら手足を動かすことで 振りや動きが大きく見え速くも見える

 

その結果よく観察すると ヒップホップでは身体が揺れながらも頭の位置が余り変わっていない動きが多い

つまり体の重心を余り変えないように揺れ動いているので 若さ以上によく動き続けられるほど省エネなのです

 

頭の位置が変わらないのは ルンバやサンバの様なラテンの特徴でもあります

脚腰を左右(ルンバ)に 前後(サンバ)に振りながらも 頭の上下左右移動は少ないので 波に乗って踊るようで美しくまた大きくも見えながら結構疲れない

ラテンは重心の上下動が少ないダンスなのです

ラテンは何時も足先をターンアウト(開いて)させ バレエのように脚を長く見せようとしている

バレエとジャズやラテンは脚の長さを見せるために 爪先着地しターンアウト等も多い

 

ヒップホップ等は 力強さや速さとために踵着地が多い

バレエやジャズの爪先着地は 足首をしっかりポイントにしてもロックが効かず ふくらはぎを使うので 疲れやすい

踵着地は 膝ロックだけでいいのでふくらはぎは比較的疲れにくい

膝は伸ばしておくとロックされて力が要らないがぎこちなく見えるが 歩行のように省エネ運動になる

 

頭からや胸からの掬い上げるスウエイや前屈後屈の時に膝を曲げ伸ばして上下に揺れるのが一般であるのは 上半身と下半身が逆の重心移動するようにして 全体の重心高さを変えないようにし エネルギーセーブしているためです

柔よく剛を制すと云うのは 身体の中でも言えることです

力を入れるためならスキンマッスルデガチガチにすればいいのですが 力とエネルギーをたっぷり使う

力を入れなくても同じ動きを 重力のままにすることが出来る

スキンマッスルは緩々ですが コアマッスルはシッカリさせておかなければ安定しない

つまり重力を上手く使うためにコアをしっかりさせておくのですが 言いかえれば動きだけならスキンは勿論コアも要らないのです

コアは動きの安定・確実性の為にあるのです

 

ジャズダンスやヒップホップが緩々系で インナーマッスルだけで踊っているようなものです

身体はスキンマッスルだけで動くに非ず

スキンマッスルが無くとも 力が入らないコアマッスルだけで関節を利用した緩々変形で動ける

重力を利用し 関節変形も利用し 緩々な変形で動く

手足の振りも胴の捻りも利用できる関節を使って運動に替える

この様な変形で目的の動きが出来れば省エネで効率的な動きと言えます

 

緩々ゆらゆら動きを 関節が無いようにとも言える

ジャズは重力線の流れのように

 

コンテンポラリーダンサーを自認するマイクですが コンテンポラリーダンスとは何かについては自信ないマイクです

只のパフォーマンスと言うくらいしか認識はないので 悩みながら疑問に思いながらやっています

そこら辺を 私のダンス道 研究ダンス道のページに考えながら書いています

身体表現と言う言われ方をしていますが 果たして身体技法なるものがあるのか 深くは考えていませんので 肝心のコンテンポラリーダンスなのですが 書くことは止めておきます

 

 

今頃はやりのインナーマッスルの中での代表は 大腰筋でしょう

大腰筋は太ももを上げ 背骨を支えます

歳をとり弱くなるとけ躓いたり 猫背になったりする

老人ダンサーがヒップホップに励んでいるのは 予防の為なのです?

本当はそうではなく エアロビクスではインストラクターの真似をするだけで 振りを覚える必要がない

ところがダンス系の踊りには流れとしての振り付けを身体で覚えなければぎこちなく汚いどころか 中々振りが身につかない

頭の訓練として 認知症の予防としてやっているのです

これもまた本当は 予防になるかは分かりませんが 進行状況の判断だけでも出来るのではないかと思ってやっています

 

身体技法を考えて行こうと思いながら 実はボケ防止の話で終わります

 

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